COLUMN:PAST AND PRESENT of JAPAN BOXING #1

#1 雑草男

昨年秋、ある男が後楽園ホールで格上の相手(世界タイトルマッチ経験者)に完勝する番狂わせを起こした。

世間的には番狂わせだが、本人はそうでもなかったのかもしれない。

なぜなら、彼は呼ばれれば世界中どこのリングにも上がり、あらゆる地区のリングのレベルを肌で知っていて、このレベルの選手であれば(決して今回の番狂わせを起こされた選手だけを指しているわけではない)格上でも、勝算とはいわないまでも、そこそこ勝負になると踏んでいたのではないだろうか。

本人に聞いてみないと真相はわからない。

昔話となるが、小林弘という世界チャンピオンがいた。

彼もチャンピオンになる前は、世界中のリングにあがり、当時の世界中の優等生と拳を交え勝ち負けを繰り返しながら腕を磨いたことがあった。

ただ、決してKO率は高くなく、むしろ世界チャンピオンとしては最低だったのではないか?この男が長らくタイトルを保持し、具志堅に破られるまで、日本の世界タイトル連続防衛記録を持っていたとは今となっては驚きである。

当時のボクシングファンは彼を「雑草男」と呼ぶ。

今回番狂わせを起こした男と小林弘が被って仕方がない。

彼がチャンピオンになり引退するまで応援したい。

そして大きなダメージを追うことなく現役を終えてほしい。


NOBU

昭和40年ごろから後楽園ホールに足を運び現在もたびたび現場に足を運ぶ。

約50年で見てきた知識をすり合わせながら現在のリング事情を考察。

好きなボクサーはアレクシス・アルゲリョ。

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